アルバイトを「飛ぶ」=無断で出勤をやめてしまう行為は、意外と軽く考えられがちです。
しかし、実際には職場への迷惑だけでなく、自分自身の将来にも大きな影響を及ぼすことがあります。
この記事では、「無断欠勤」と「無断退職」の違い、法律上の問題、給料の支払い、有利・不利になる要素などをわかりやすく解説します。
バイトを飛ぶ前に知っておくべきリスクや、正しい対処法を確認して、自分の将来を守りましょう。
バイトを飛ぶとどうなる?無断欠勤・無断退職の意味と違いとは
この章では、「無断欠勤」と「無断退職」の違いと、それぞれの意味について明確に解説します。
無断欠勤は「出勤予定の日に連絡なしで休むこと」
無断欠勤とは、勤務予定だった日に事前の連絡もなく出勤しないことを指します。
たとえ一日でも、連絡なしで休んでしまうと、職場に大きな迷惑をかけることになります。
会社や店舗では、その人が来ないことで業務が滞ったり、シフトの調整が必要になったりと、予期せぬ混乱が起こります。
これは一時的な休みであっても重大な問題と受け取られることがあり、信頼を大きく損ねる行為となります。
また、回数が重なると、解雇の理由になることもあります。
無断退職は「連絡もなく出勤をやめてそのまま辞めること」
無断退職は、会社に何の連絡もせずに、ある日突然出勤をやめ、そのまま辞めてしまう行為をいいます。
これは単なる欠勤よりもさらに深刻で、企業側からは「放棄」「失踪」と見なされる場合もあります。
無断退職された側は、連絡が取れないことで制服や鍵の返却、給料の振込などにも支障が出てしまいます。
退職に関する最低限のルールを守らないことで、将来的なトラブルの種になる可能性があります。
どちらも職場に迷惑がかかる行為
無断欠勤も無断退職も、共通しているのは「職場の人に迷惑をかける」という点です。
突発的に人が足りなくなることで、他のスタッフが急きょ出勤する必要が出たり、仕事量が増えたりします。
また、信頼を損ねるだけでなく、その後の就職や転職活動に影響を及ぼす可能性も否定できません。
一時的には「行きたくないから飛んでしまえ」と思うかもしれませんが、冷静な判断が重要です。
バイトを飛ぶと法律的な問題はどうなるのか
ここでは無断退職や欠勤が法律にどう関係してくるのか、基本的なルールと注意点を紹介します。
基本的に罰則はないが、損害が大きいと損害賠償の可能性がある
無断退職や欠勤をしたからといって、すぐに警察に捕まるような法律上の罰則はありません。
しかし、重大な損害を会社に与えた場合には「損害賠償請求」をされる可能性があります。
特に飲食店や接客業で、あなたの欠勤によってクレームや営業停止につながった場合などが該当します。
詳しくは 日本法令外国語訳データベースの民法(第415条) などで確認できます。
民法第627条で「退職は2週間前までに申し出る」と決まっている
アルバイトのような「期間の定めのない契約」では、退職の申し出は2週間前までにすればOKと民法で定められています。
このルールを守っていれば、法的にはトラブルになりにくくなります。
退職時の基本ルールを確認したい方は、弁護士ドットコムの記事も参考になります。
ただし、契約期間の途中や繁忙期の退職には注意が必要です。
雇用契約書に特別な条項があるとトラブルになる可能性がある
雇用契約書に「退職時は1か月前に連絡」「繁忙期の退職は禁止」などの特約がある場合は要注意です。
契約書の内容に反して無断退職した場合、信義則違反などの名目で損害賠償を請求されるリスクがあります。
自分がどのような契約を結んでいるかを、入社時にもらった書類で確認しておくことが重要です。
トラブルを避けるためにも、契約内容はしっかり確認しましょう。
バイトを飛ぶと給料はもらえるのか
バイトを飛んだ後でも、給料の支払い義務があるのかを詳しく解説します。
働いた分の給料は原則として支払われる義務がある
労働基準法第24条により、働いた分の給料は必ず支払われなければなりません。
無断退職や欠勤をしても、それまでに働いた分は法律上、給与支払い義務があるのです。
参照:厚生労働省|労働基準法
ただし、無断で辞めたことで手続きが滞るケースもあります。
無断退職で連絡がつかないと振込できないことがある
無断で辞めてしまうと、給料の振込口座や退職手続きの確認ができず、支払いが遅れる可能性があります。
特に引っ越しなどで住所が変わっていた場合、給与明細の送付先が不明になることも。
しっかり退職の連絡をすることで、スムーズな給料受け取りが可能になります。
無断退職は給料の遅延や未払いの原因になり得ることを理解しておきましょう。
制服などの返却がないと精算が遅れる場合がある
多くのアルバイト先では、制服や名札、備品の貸与が行われています。
これらを返却せずに無断で辞めてしまうと、会社側がそれらの費用を差し引いた形で給料を調整するケースもあります。
法律的には勝手に差し引くのは問題となりますが、返却しないと手続きが進まず支払いが遅れることは珍しくありません。
労働条件相談ほっとラインなどの窓口もあるので、不安な場合は相談してみましょう。
バイトを飛ぶと店長や同僚に与える影響とは
この章では、無断欠勤や無断退職が職場の人々にどのような影響を与えるのかを解説します。
シフトに穴があき、他のスタッフの負担が増える
アルバイトはチームで回していることが多く、一人が急に欠けると他のスタッフがその分の仕事をカバーする必要があります。
突然の欠勤は、「誰かが代わりに出なければいけない」状況を生み、他の人のスケジュールにまで影響が出てしまいます。
特に飲食店やコンビニなど、少人数で回している職場ではこの影響が顕著です。
無理な出勤が続くと、スタッフ全体のモチベーションも低下します。
職場の信頼関係が崩れる原因になる
無断で辞めたり欠勤したりすると、「また誰か飛ぶかも」と職場に不安が生まれます。
信頼が一度崩れると、新人教育や人間関係にも悪影響を与えることがあります。
職場内の雰囲気が悪くなることで、結果的に他のスタッフの離職にもつながるケースがあります。
「一緒に働いていた仲間を裏切ってしまった」と後悔する人も少なくありません。
急な欠勤で営業に支障が出ることもある
人手が足りなくなると、お客様への対応が遅れたり、営業そのものを制限しなければならない事態になることもあります。
特に飲食店やイベント業界では、急な欠員が売上に直結します。
結果として店長や経営陣が頭を抱えることになり、あなたへの評価が大きく下がる要因にもなります。
店舗運営における信頼の重みを理解して行動することが大切です。
バイトを飛ぶと次のバイトや就職に不利になる可能性
バイトを無断で飛んだことが、将来の就職やバイトにどのような影響を与えるかを解説します。
面接で「すぐ辞める人」と思われやすくなる
次のバイト先での面接時、前職を早期退職していたり、突然辞めていたりすると、採用担当者はその理由を気にします。
「この人はまた急に辞めるのでは?」と疑われ、採用に消極的になる可能性が高まります。
無断で辞めた場合は特に、職歴としての信頼性が低くなってしまうのです。
継続して働けるかどうかは、採用側にとって非常に重要な判断基準です。
前のバイト先から悪い評判が伝わることがある
アルバイト同士や店長同士が知り合いであることもあり、「あの子、前にうちで飛んだよ」といった情報が伝わることもあります。
特に地元の小さなエリアでは、噂が意外と広がりやすいです。
良い評判はすぐに消えますが、悪い評判は残りやすいということを覚えておきましょう。
次のチャンスを逃さないためにも、最後まで誠実な対応が大切です。
履歴書に空白期間ができて質問されやすくなる
長い間働いていない期間が履歴書にあると、面接官は「何をしていたのか」と質問してきます。
無断退職やトラブルがあった場合、その理由をうまく説明できないと評価が下がります。
空白期間は必ずしも悪いわけではありませんが、理由の説明がつかないと疑念を持たれてしまいます。
だからこそ、バイトであっても誠実に辞めることが重要です。
バイトを飛ぶと損害賠償やトラブルのリスクはどうなるのか
無断でバイトを辞めることで、どんな法的トラブルに発展する可能性があるのかを詳しく解説します。
業務に大きな損害を与えた場合、損害賠償を請求されることがある
例えば、無断退職によってお店の営業が止まり、多額の損失が出た場合は損害賠償請求の対象になることも。
このようなケースはレアですが、法的には可能性があります。
参考:裁判所公式サイトで過去の損害賠償判例も確認できます。
リスクを避けるためには、事前に連絡して辞めることがもっとも効果的です。
制服や備品の未返却で費用を請求されることがある
返却物が多い職場では、未返却によって実費請求される可能性があります。
たとえばユニフォームやタブレット端末など、高価な備品はそのまま辞めると弁償になることも。
会社によっては、契約書に「紛失時は自己負担」と明記されていることがあります。
退職時には持ち物の確認と返却を確実に行いましょう。
しつこい連絡や警察への相談に発展することもある
無断退職後に連絡が取れないと、会社が家族や知人に連絡したり、最悪の場合は警察に行方確認を依頼するケースもあります。
「無断退職=失踪」と受け取られることもあり、結果的に大ごとになってしまうことがあります。
特に未成年や住み込みのアルバイトの場合、親や保護者への連絡も行われることがあります。
トラブルを避けるためにも、辞めるときは必ず一報を入れるようにしましょう。
バイトを飛ぶとやむを得ない事情がある場合の対処法
体調不良や家庭の事情など、どうしても連絡が難しい状況のときの対処法をご紹介します。
体調不良や家庭の事情がある場合は事情を説明するべき
熱が出て動けない、家族の事情で急に働けなくなった――そんなときでも、できる限り事情を伝えるようにしましょう。
誠意を持って連絡することで、職場側の理解も得られやすくなります。
あくまで人間同士の関係なので、無理に出勤するよりも誠実な説明の方が重要です。
後日、体調が回復してから連絡を入れるだけでも印象は変わります。
電話やメールでもいいので早めに連絡することが大切
連絡の手段は電話、メール、LINE、どれでもかまいません。
重要なのは「できるだけ早く伝えること」です。
「言いづらい」「怒られそう」と思って放置するほど、状況は悪化していきます。
思い切って一報を入れることで、その後の関係も円満に終わらせることができます。
第三者(親や友人)に相談・連絡代行を頼む方法もある
どうしても自分から連絡できないときは、信頼できる大人や友人に相談しましょう。
場合によっては、親や知人から代わりに連絡してもらうという方法もあります。
黙って辞めるよりは、誰かを通してでも伝える方がずっと良い対応です。
学校や地域の相談窓口もあるので、ひとりで抱え込まないことが大切です。
バイトを飛ぶとどうなる?無断ではなく正しい辞め方を知ろう
正しい辞め方を知っていれば、トラブルを防ぎ、スムーズに退職することができます。
まずは店長に退職の意思を伝えることが基本だから
最初のステップは、口頭でもLINEでもいいので、店長に「辞めたいです」と伝えること。
突然辞めるよりも、早めに相談する方が円満に進みやすいです。
「あと〇週間働きます」と言っておけば、引き継ぎもできます。
人手不足の職場ほど、丁寧な対応が感謝されます。
退職日は原則2週間後まで働く必要があるから
民法では「退職は2週間前に申し出る」とされており、これが基本的なルールです。
この期間を守ることで、法的なトラブルを回避できます。
すぐに辞めたい理由があっても、できるだけ協力的な態度をとることが重要です。
辞めた後の印象が悪くならないよう、しっかり話し合いましょう。
トラブルを避けるために書面やLINEで証拠を残すと安心だから
口頭だけでやり取りをすると、「言った言わない」のトラブルに発展することがあります。
LINEやメールで退職の意思を伝えておくと、後々の証拠になります。
「いつ、誰に、どんな内容を伝えたか」が明確であれば、万が一トラブルになっても対応しやすくなります。
会社側も「辞める準備」をしやすくなるので、お互いにとってメリットのある方法です。
まとめ|バイトを飛ぶとどうなる?リスクや影響を理解して正しく行動しよう
無断欠勤や無断退職は、一時的なストレスから解放されるように感じるかもしれませんが、実際には自分や職場に多くの悪影響を与える行為です。
法律的な問題、給料の支払い、人間関係、将来の就職など、様々な面でリスクがあります。
やむを得ない理由がある場合は、連絡を入れるだけでも印象が大きく変わります。
「バイトを飛ぶ前に、1度立ち止まって冷静に考える」ことが、あなたの未来を守る第一歩です。